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中国の景気の先行
日経新聞によりますと、中国の1〜3月の実質経済成長率は前年同期比9・7%になり、力強い成長が続いているようにみえます。しかし、インフレの抑制を急がなければなりませんし、過剰投資や不動産バブルも深刻な状態のようです、今後、一層の金融引き締めは避けられず、中国の景気の先行きを注視する必要が大いにあります。

中国の成長の最大の原動力は旺盛な投資です。一方で、2ケタの増加率が続いていた自動車販売台数が、2、3月と1ケタ台前半の伸びにとどまるなど、消費には変化の兆しも見えているのは事実です。

3月の消費者物価は前年同月比で5.4%上昇し、リーマン・ショック直前の2008年7月以来の高い上昇率となりました。中央銀行に相当する中国人民銀行は昨年10月から4回にわたって利上げを実施するなど金融を引き締めてきたが、足元でインフレはむしろ進行しているようです。

また、中国の1〜3月の貿易収支は7年ぶりに赤字となりましたが、国際通貨基金(IMF)は来年の中国の経常黒字が過去最高に膨らみ、世界の不均衡も深まるとみています。インフレ抑制のためにも世界経済の安定回復のためにも、中国は人民元の相場上昇をさらに速める必要がありますね。
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バブルの経済学
1980年代後半の日本で、株価や地価が顕著に上昇し、「資産インフレ」とか「ストック・インフレ」と呼ばれる状況がもたらされてます。通常の財やサービスの価格は安定していたのに、資産価格だけが上昇したのが特徴です。

株価や地価は、正常な状況下でも経済の上昇に伴って上昇する。そこで、この期間の資産価格インフレが異常であった否かを判断するには、経済成長との比較が必要です。株式資産額と土地資産額の推移をGDPの推移と比較してみると、80年代中頃には、これらの価格はいずれもGDPのほぼ半分であった。これらは80年代後半に急激に膨れ上がり、東京の宅地価格は87年末にはGDPの1.5倍になり、株式資産価格も若干遅れて89年末には同じくGDPの1.5倍になった。これはいかにも異常な増加であった。この過程は経済学でいう「バブル」現象であったと解釈できる。「バブル」とは、資産価格のうち経済の実態から離れて上昇した部分をいう。 結局、80年代後半に、株価は4倍、東京圏の地価は3倍に上がりました。

しかし、80年代後半には、地価についても株価についても、むしろバブルの存在を否定する見解が一般的だったのです。株価については新しい地代へのパラダイムの転換が起こっているのだから上昇するのは当然で、日本経済の将来の成長を先取りした上昇であるとの見方が強かった。地価については、東京への一極集中や金融緩和などの要因が指摘され、バブルではないとされてます。

89年末に最高値を記録した株価が90年になって大幅に下落した。東京圏の地価は90年までは高値安定状態で会ったが、91年に顕著な下落が始まった。91年以降の資産価値の下落は、金利低下の局面で生じている。本来であれば、金利が低下すれば資産価値は上昇するはずです。従って、この間の資産価値の動きは、バブルの崩壊としてしか説明ができない。

バブルをめぐる経済メカニズムは、つぎのようなものだったことになる。まず、生産性の向上によって円高がもたらされてます。本来であれば、これによる輸入価格の下落を通じて国民は勤勉さの報酬を得るはずだった。しかし、実際には、円高差益は消費者には還元されず、生産者と流通業者に吸収されてしまった。これは企業の利潤を増加させ、企業はその運用のために「財テク」に走った。企業利潤の増加によって株価が上昇し、これによってエクイクティフィナンシャルが有利になった。このため、証券市場を通じて更に多くの財テク資金が調達されてます。これが金融機関を経由して土地投機に回されてます。他方、円高を阻止するため金融緩和が行われ、これが株価と地価を更に引き上げた。

80年代後半から90年頃までの大型景気の中で、設備投資、住宅投資、そして耐久投資財への投資が大幅に伸びた。このため、企業の生産設備、住宅、そして耐久消費財のストックは、かなり高水準になっている。これらのストックを通常の水準に戻すためには、投資を抑制する必要がある。これは「ストック調整」というメカニズムで、このこと自体は、なんの目新しいものではない。ただ、今回の場合には調整の規模が極めて大きく、調整終了までにかなりの時間を要するのです。

バブルが何度も再発するのは、「投機が続いている限り投機は利益を生む」というバブルの本質的な性質による。これを考えると、将来、バブルが再び発生する可能性は否定できない。 株式の将来の配当や土地の将来の利用収益は、現時点では確実には分からない。この部分をリスク・プレミアムという。これを考慮すると、資産価格における「利子率」の代わりに、「利子率+リスク・プレミアム」を用いる必要がある。

地価は収益還元法的評価に加え、利子率にも影響される。金融緩和によって利子率が低下すれば、資産価値は高くなる。このように、金融緩和による資産価格の上昇は、バブルではなくファンダメンタルズ価格の変動と考えられる。

キャピタルゲインを考慮した場合の資産価値は、ファンダメンタルズ以外の要因によっても変動する。資産が将来値上がりすると予想されるなら、それだけの要因で現在の価格が上昇してしまうのです。例えば、ある株が将来値上がりすると多くの人が信じると、配当が変化しなくとも現在の株価が上昇してしまう。また、ある土地が一年後に1億円になると期待されるなら、1年間の利用収益いかんにかかわらず、それを現在8000万円で買うことは利益をもたらすだろう。つまり、キャプタルゲインの期待がある場合には、経済の実態を離れ「値上がり期待が値上がりを呼ぶ」という形で、資産価格がファンダメンタルズ価格より高くなりえるのです。「将来価格が現在価格に影響する」というのが、資産価格に特有の現象です。実際の資産価格とファンダメンタルズ価格との差が「バブル」です。つまり、「バブル」とは、現実の資産価格のうち、ファンダメンタルズ説明できない部分を指す。

バブルを引き起こす投機的取引の多くは借入によって行われる。80年代後半の日本もそうだった。これは、金融機関をめぐる資金の流れから読み取れる。こうした変化を分析し、その原因を探れば、バブル発生のメカニズムを解く手がかりになるだろうと思われます。 85年から90年までの間に、法人企業は、金融機関からの借り入れで約185兆円、債券・株式発行で約91兆円、その他の方法で約130兆円、総額450兆円の資金を調達した。このうち、金融資産の増額に158兆円(64%)が当てられ、残りの148兆円が実物投資にあてられた。企業の金融投資が増えた背景としては、金融自由化によって金融商品の選択幅が広がり、金融資産への投資が相対的に有利になったことが挙げられる。

80年代の企業の資金調達と運用についての分析では、大企業の負債利回りは87年頃には5%程度まで低下している。これに対して、金融資産の収益率は7-8%程度であったので、企業は、借金した資金を金融資産に投資するだけで、収益を上げられたことになる。また、この当時、CPの発行レートが大口定期預金金利を下回っていたので、企業はPCを発行して得た資金を大口定期預金で運用することにより、リスクなしに収益を上げることができた。これは本業で稼ぐよりも、「財テク」に力を入れる方が手っ取り早く利益を上げられるようになったことを意味する。こうして、負債を増やして資産を増すという資金運用がなされ、資産と負債がともに膨張していったようです。

金融自由化は、金融機関から見ると、資金調達コストを引き上げる要因として機能した。このため収益が圧迫され、金融機関は、利益が高い対象に融資をシフトさせた。金融機関の行動変化を引き起こしたもう一つの重要な要因として、マクロ経済政策があった。80年代の財政運営は「財政再建」によって特徴づけられる。赤字国債からの脱却が目的とされ、歳出増加が抑制されてます。また、税負担も増加した。この結果国債残高の対GDP比は、86年度に42.7%と最高値を記録した後、継続的に低下し、90年度末には38.1%までになった。国債残高の対GDP比が低下したのは、65年に国債の発行が開始されて以来、初めてのことであった(これがなんと、現在では200%)。このため、金融機関にとって適切な運用対象が減少した。そこで、金融機関は、ポートフォリオの中で貸し出しを増加させざるをえなかったのです。仮にこの期間においても国債という投資対象の供給が増加し続けていたなら、貸し出し競争はあれほど激しい物にはならなかったであるのではないでしょうか。

バブルの崩壊について、株と土地の価格下落の差が生じるのは、市場構造が違うからです。株の場合には、市場が整備されているので、経済情勢や将来の見通しが価格に敏感に反映する。場合によっては過剰に反映する。事実、株価はこうしたメカニズムによって、均衡値より下げすぎる可能性もある。これに対して、土地の場合には、流動性が低く、取引が容易ではない。さらに、株の場合には、値下がりに対して投機することも可能だが、土地の場合には困難です。このため、特に下落時には、地価の反応は鈍くなる。

マクロ的に見た重要な変化として「ストック化」がある。「ストック化」は、80年後半にGDPに対する資産価値の比率が高まったことから指摘されたもので、所得、資本などの毎年のフローに対して、資産、資本などのストック量のウエイトが増す現象を指す。「ストック化」は、経済のさまざまな側面に影響を与える。一般にストックの価格はフローの価格に比べて大きく変動する傾向がある。したがって、フローに対するストックの比重が増大すると、ストック価格の変動が経済全体に与える影響も大きくなる。資産価格の激しい変動はさまざまな問題を引き起こす。特にバブルの膨張や崩壊は、多くの望ましくない結果をもたらします。

資産価格のコントロールのための重要なマクロ経済政策は金融政策です。金融政策の主たる目標は、これまで、投資などのフロー量の制御や一般物価水準の安定に置かれてきた。今後は、ストック価格の安定化を重要な目標として意識することが必要です。
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